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あとは出来上がるだけ

  • 執筆者の写真: 後藤悠樹/GOTO HARUKI
    後藤悠樹/GOTO HARUKI
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

 著者校了しました。2026年1月中旬、間もなく発売です。本が出来上がる段階までの段階には色々あるかと思いますが、原稿、写真ともに、全て私の手元を離れました。


 本来は2023年1月の刊行予定が、ちょうど三年遅れたことになります。 ここまでにたくさんのことがありました。岡田林太郎、どこかで見てますか。死んでいる場合じゃないよ。一緒にこの時を味わいたかった。


 今度の本は、今からおよそ10年前、2016年8月にチュコトカを旅した際の、日誌と写真の本です。チュコトカは、ベーリング海峡を挟んでアラスカの反対側、ユーラシア大陸最東端のシベリアにあります。詳細については、次回。


 それにしても、本造りほど大変なことは無いかも知れないと、改めて感じた制作の日々だった。編集者はもとより、解説者やデザイナーとのビシビシとした緊張感のあるやり取り、こんなにも「苦しくて、楽しい」作業は他にはあるまい。かつて「苦しくて、楽しい」こんな状態のことを、「くる楽しい」と、遠藤周作がそう称していたと思うがまさにその通り。


 本著は当初、みずき書林、岡田林太郎さんのもとで刊行予定でしたが、残念ながら岡田さんの病の進行のため中断となり、その後決して愉快とは言えないゴタゴタも多少あり、最終的に2025年に柏書房さんの天野潤平さんにより引き継ぎいただきました。お二人には、心から感謝したい。この二人でなければ様々な難所(ほぼ全て)を乗り越えることは不可能だったと断言できる。特に天野さんには引き継ぎという形で途中参加いただき、引き継ぎ特有の制限や複雑さなどが多くあり、ゼロから手がける書籍よりはるかに面倒だったかと思います。


 また、解説の呉人先生に関しても大変感謝しております。最初にお会いしたのは2022年の春だったかと思いますが、それから一度原稿を預かった後、かなり長い間が空いてしまい、ご心配をおかけしました。この本の解説は呉人先生が調査で訪れていたアルタイ山脈で主に執筆いただきました。締め切りが迫る中、停電など現地のネット環境が不安定なため、街のカフェまで走って送信いただいたり、専門外の事をお伺いして世界でも数少ない他のチュコトカの研究者へわざわざ問い合わせていただくなど、沢山のご協力を賜りました。こちらも呉人先生でしか書けない解説になったかと思います。誠にありがとうございました。


 同様に、装丁・構成の三村淳さんにも大変感謝しております。最初の出会いは本著にもあるように、2013年でした。それから定期的にお会いさせていただきましたが(たいてい渋谷の山家かライオン、東急のラウンジ、時折自由が丘)、実現まで13年かかりましたが、いつか仕事を依頼するのが夢でした。三村さんにしか出せない、芯のある端正なブックデザイン(というより、もはや作品)は、この一度きりの旅の魅力を、最大限に引き出していただきました。


 その他にも、ロシア語タイトルなどで相談させていただいたパイチャゼ先生やチュコト半島の方々など、お世話になった方々を挙げ出すとキリがありません。本の筆者の名前は一人しか載りませんが、その奥には何十人もの人が関わっています。本とはそういう、まさに、人と人の織りなす人生の結晶そのものだと、改めて今回、深く受け止めました。そしてそのような書籍文化が身近にあり、容易に触れられることがどんなに素晴らしいことかを、ここ数年、歳を追うごとに実感しております。願わくば、読者の一部となりますように。そんな気持ちです。

間もなく刊行、どうぞよろしくお願いいたします。




 
 
 

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